- 「無職、川、ブックオフ」
- 「長い読書」
- 「継続するコツ」
- 「世界を変えた6つの「気晴らし」の物語 新・人類進化史」
- 「ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ」
- 「計測の科学: 人類が生み出した福音と災厄」
- 「死因の人類史」
- 「恐怖の美学 なぜ人はゾクゾクしたいのか」
- 「ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち」
- 「早回し全歴史 ──宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる」
- 「エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?」
- 「奇書の世界史2 歴史を動かす“もっとヤバい書物”の物語」
- 「ほぼ命がけサメ図鑑」
- 「君のクイズ」
- 「三体2 暗黒森林(上)」
- 「虐殺器官」
「無職、川、ブックオフ」
BHBのライター、マンスーンさんの著書。マンスーンさん同い年でうれしい。同い年以外にも無職期間が長いことなどなど共通点が多くてなんだか嬉しかったです。
が、本の内容はかなり自分にも身に覚えがあり”あの頃”をまざまざと思い出させてくれるものでもあり、懐かしさ半分、「もうあの頃には戻りたくないぜ!!」と切実に思わされるなどしました。いま自分は無職ですが、自分の資産を切り崩しながら無職生活を送るのと、他人からの援助によってそうするのとでは天と地ほどの違いがあるということを痛感します。
「長い読書」
ひとり出版社「夏葉社」の島田潤一郎さんの本。やたら本屋さんで平積みされていて気になっていたのをやっと読みました。
二〇歳そこそこの大学生の目には、語彙が豊富で、修飾語などの表現が豊かな作家こそ、力量のある作家に映った。
でも本を読めば読むほど、すぐれた作家とは決してそういう作家ではないのだ、ということがわかった。
初めてドストエフスキーの本を手に取ったときに驚いたのは、その分厚い小説のなかに難解な語彙がほとんど出てこないことだった。
「あ、ぼくにも読める!」
そう感じたときのよろこびは、いまも忘れられない。
ドストエフスキーが読めるのだったら、トルストイも読めるはずだし、トマス・マンも読めるはずだし、スタンダールも、フロベールも、ゲーテだって読めるはずだ。
そう予感してから眺める、書店の棚の鮮やかさといったらなかった。
それまではくすんで見えた各文庫の海外文学の棚に、あたらしい、たくさんの色がつくようだった。
この「読める!読めるぞ!」という感動、自分も主にポピュラーサイエンス本や人類史系の本をたくさん読むようになって痛感するようになりました。本を読み慣れていないうちは読んでいてもよくわからなかったりぜんぜん頭に入ってこないことも、わからないながらも数をこなすうちになんとなく既視感を覚えるようになっていく気がします。
そして、いい本とは、正確性は担保しつつ、自分のような初心者にもわかりやすく楽しく学べるような書き方をしてくれている本だと感じます。著者がいうように、その状態で眺める本屋さんの本棚は、もはやワンダーランドです。最近はもう本屋さんに”飛ばせる”棚がなくなってしまって、正直ちょっと困っています。
「継続するコツ」
著者は毎日朝4時に起きて10時まで文章を書き続けているらしいです。すごお……。
この本と著者の素晴らしいところは、それによって「お金を稼ぐ」とか「人の役にたつ」みたいな方向にはいっさい興味がなさそうなところ。ただ自分が書きたいことを、自分が書きたいから書くだけだというある意味ストイックすぎる態度です。
自分も(著者ほど長時間は無理ですが、)毎日1-2時間くらいは文章を書く時間にあてたいなぁと考えています。それでお金が稼げるような気配は今のところまっっったくありませんが、それでぜんぜん構わないな〜と思わされます。いい本!
「世界を変えた6つの「気晴らし」の物語 新・人類進化史」
世界を変えるようなイノベーションは”必要”からではなく、遊びや気晴らしといった”不必要”なところから生まれていた!という、個人的に好きすぎるお話がいっぱい載っています。おもしろい!!!
テーマがテーマなので論調にはやや偏りがあったり飛躍があったりしそう感はひしひしと感じます。が、たとえばコショウのような調味料は人間が生きていくうえでまったく必要ないにもかかわらず交易路を通って世界中に流通したし、命を賭けてでも流通させるだけのモチベーションを担っていたのだという話には惹かれてしまいます。
生命維持や生活の役にたつわけではない、ある意味ムダなものごとに、どうしても興味関心を抱いてしまう人間の業みたいなものが感じられて、とても好きな本です。
「ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ」
「ブックオフ大学ぶらぶら学部」に引き続くブックオフ本。「ブックオフ大学」の内容もしっかり盛り込まれているし、自分も大好きなphaさんの記事にも言及されていてニヤリとしました。ブックオフは無職の味方。
ブックオフの成り立ちから本業界に与えた影響などについて解説するとともに、ブックオフのことが好きな人にインタビューしたり「3000円ブックオフ」という企画でわちゃわちゃしたりと楽しい本でした。
「計測の科学: 人類が生み出した福音と災厄」
メートルやキログラムといった単位の定義がどのようにして定められたのか、その歴史的背景について解説する本。おもしろかったですが内容はだいぶ専門的な部分も多くて、半分ぐらいしか理解できていない気がします。
1メートルの長さは、なぜそれが”1メートル”なのか?それは誰が決めたのか??「いままで平然と運用してたけど、その疑問持ったことなかったわ〜〜」とふと我に返るような体験ができます。メートルはまだしも、キログラムの定義に関しては説明されてもぜんぜんわからなくて笑えます。
「死因の人類史」
ペストやコレラなどの伝染病や、タバコやお酒といった嗜好品がいかに人間を殺しまくってきたかについて解説している、死の百科事典。
医師のジョン・スノウがロンドンのソーホーで流行したコレラの原因究明にあたった話はもはやミステリー小説のような顛末までついていておもしろく(と言っていいかは微妙ですが)読みました。し、おそらくこの逸話がよくできていて有名すぎるせいか、他の本でも度々解説されているのが目につくようになって「ああ、あの話ね」となるのがちょっと嬉しい、というおまけまでついてくるようになりました。
とにかく人が死ぬ話しか書いていないのでメンタルが弱っているときは読まない方がいいかも!
「恐怖の美学 なぜ人はゾクゾクしたいのか」
人はなぜ恐怖を感じる(感じたがる)のか、絵画や漫画、オカルト研究、哲学などの幅広い視点から仮説を立てていく形式の本。心理学寄りの難しいことがたくさん書いてあるのかなと思いきや、めちゃくちゃサブカルっぽいオカルト雑誌やホラー漫画の紹介などがふんだんに盛り込まれていてだいぶ読みやすかったです。
ホラー作品はその作品内で完結するのではなく、読者の世界に理不尽に侵食してくる(「メタ連鎖の法則」)、だから怖いのだ……という説は、日常侵食系ホラー最も苦手勢としては「ほんとそう」でしかありません。日常侵食系ホラーだけは許さない、絶対に。
「ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち」
天才プログラマーでベンチャー創業者、現在は投資家という輝かしすぎる経歴をもつ著者のコラム集。
技術的な話が半分ぐらい、もう半分は仕事に対する心構えや「他人より頭ひとつ突き抜けるには」みたいな話が多くて、身もふたもない言い方をすると意識高い人向けビジネス書というかんじです。自分にはあわなかった(「継続するコツ」みたいな本のほうがやる気でるタイプなので)ですが、内容はややブラック寄りのユーモアと説得力が両立していて素直な気持ちで読むことができました。書かれていることを実践できるかどうかは別として……。
「早回し全歴史 ──宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる」
宇宙誕生からの138億年をたった350ページで解説しようというパワフルでぶっ飛んだ試みの本。人類史に関する本を読んでいると「現代日本に生まれてよかった〜」と感じることが多いですが、こうした宇宙の成り立ちや生物の起源に関する話を聞くと、自分の生命や生活が、本当に意味がわからないレベルでの運や可能性の上に成り立っていることを、しみじみと実感します。
「宇宙は白くて熱い1個のエネルギーの点として始まり、その中には現在見えるものすべての原材料が含まれていた」と言葉で説明されても「???」となりますが、どうやら本当に”そう”らしい……本当に意味がわからないしすごい……。
「エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?」
”エビデンスを嫌う人”=科学否定論者との対話と、そこから得られた「科学を信じない人とどのように接するべきか」という知見についてまとまっている、濃厚すぎる一冊。科学否定論者との対決〜理論と実践〜というかんじ。
科学否定論者をナンセンスだと一蹴したり嘲笑ったりするのではなく、膝を突き合わせて対話することの重要性と難しさ。そして、現役の科学者や研究者ですらもっている”一貫性のなさ”と、その危うさを描いています。この一貫性のなさは、人間が感情を持っている限り、おそらくどんなに賢い人でも持ってしまうものだし、当然自分のなかにもあるものだと感じました。
本書では対話の重要性が繰り返し語られますが、個人的には他人を変えるよりも先に自分の無自覚の思考の偏りを自覚しなければ……となりました。
「奇書の世界史2 歴史を動かす“もっとヤバい書物”の物語」
表紙がかっこよすぎることでお馴染みの「奇書の世界史」シリーズ。直近で読んだ「死因の人類史」と共通する説明が多くてニコニコしました。
ガレノスの四体液説を用いて性格診断をしていた話が興味深かったです。原初の血液型診断だ!ちなみに四体液説はWikipediaもおもしろくておすすめです。医学や科学が占星術などと結びついていたりして中世だな〜〜!となります。
「ほぼ命がけサメ図鑑」
イラストやデザインがかわいくて思わず手にとったら内容は”ガチ”のサメ研究者の奮闘記という趣でだいぶハードボイルドでかっこよかったです。あと最近水族館に行ったのですがこの本で予習していたドチザメを発見できてとても嬉しかったです。サメ、かっこいいな〜〜〜!
本書で紹介されている「サメと一緒に泳ぐ」は無理でも、「サメを食べてみる」は自分にも実践できそうなので機会があれば食べてみたいです。
「君のクイズ」
あらすじが話題になりすぎていてあえて説明する必要もないくらい有名な、クイズを題材としたミステリー小説です。
ダイジェスト版かな???と錯覚するほどテンポがよく、オチを含めギリギリ現実にもありそうなリアリティ感が楽しい。読むとクイズがやりたすぎて「みんはや」のアプリをDLしたし、伊沢拓司さんの著書も買いました。クイズプレーヤーがどんな思考回路をしているのかトレースできて楽しい一冊です。
「三体2 暗黒森林(上)」
1を読んでかれこれ数ヶ月(1年近く経ってるかも)、やっと2の上巻を読み終わりました。おもしろい!!おもしろいししっかり展開が目まぐるしい!!
残りあと3巻しか残っていないのですが、この感じでどう収束していくのか気が気じゃありません。ネタバレを避けようと思うと言えることがなさすぎますが……あの……大丈夫!?
「虐殺器官」
SFをたくさん読みたいキャンペーン中だったので有名どころに手を出してみました。ちょっとおっかなすぎました。タイトルから予想できるちょうどジャストのおっかなさ。あと主人公にまったく感情移入できなくてつらかった。ピザ。
ポピュラーサイエンス本で履修しまくった内容が次から次へとご紹介されてそれはちょっと楽しかったです。「ハーモニー」も買って積読しているのですがもしかしたらそっちのほうが読みやすかったりするのかもしれないですね。