「生活防衛資金」とは、本来は投資用語で「生活費の支出に備えて、投資に回さずに手元に残しておく現金」のことを指します。
お給料の何ヶ月分かの現金を手元に残しておくことで、もしもの時の備えとする(株や投資信託は現金化するのに時間がかかるため)、ということのようです。
この生活防衛資金は、お給料の3ヶ月分ぐらいでいいという説から2年分は必要という説までさまざまあるものの、「まとまった現金がいくらか手元にあったほうがなにかと安心だよね」という認識は共通のもののようです。
私は投資に積極的にお金をかけているほうではありませんが、この「まとまったお金が預金口座にある安心感」のようなものは、投資をしていない人にも共通する気持ちのような気がします。
生活防衛資金としてどのくらいが必要か
もし、仕事をクビになったり、コロナのような疫病が流行ったり大地震で被災したり、あるいは大病をしたり……などの理由で働けなくなったとして、どのくらいの貯蓄があれば安心できるか?
……となると、これは「人による」としか言えないのではないかと思いますが、個人的には「1年分ぐらいあったら、ゆっくり体勢を立て直す時間としては十分かなぁ」という気がします。
ちなみに私の今の手取りは14万円ほどなので、×12ヶ月で、168万円。
2020年6月現在の貯金残高をみると約144万円の貯金があったので、このままのペースで貯金ができていれば、今年中には手が届きそう……というかんじです。
実際に生活費としてかかる金額としては、手取りの5割程度をキープしてるので、もし今すぐに仕事がなくなったとしても向こう2年ぐらいはなんとかやっていける計算になります。
生活防衛資金が(ある程度)貯まったことで、変わったこと
個人的には、まとまった貯金があることで起きる心境の変化には、ただ「もしもの時の備えができる」以上のものがあるように思います。
いつでも仕事を辞められる安心感がある
私は基本的には「できるかぎり働きたくない」派の人間なので、仕事をしなくても生活できるのであればそれがいちばんいい……などと思っています。
とはいえ、まったく働かずに不労所得だけで生きていくことは今のところ不可能なので、派遣社員の仕事を転々としつつゆるく働き、必要最低限の生活費をまかなっていくという働き方をしています。
一般に派遣社員の仕事は「いつ契約を打ち切られ、収入がなくなるかわからない、不安定だ」とされることが多いですが、私はむしろ、
- いつでも辞められる
- 仕事を辞めることに対する抵抗感が少ない
- 辞めてもある程度早期に次の仕事が見つかる
……という派遣社員の働き方は、メリットも多いように感じています。
しかし、貯蓄がない状態で契約が打ち切られ仕事がなくなってしまうと、すぐにでも次の派遣先を紹介してもらい仕事を再開しなければ、生活していくことができなくなります。
逆に、ある程度まとまった貯金である生活防衛資金があれば、いつでも好きなときに仕事を辞められるし、好きなときに(あるいは貯金がなくなったときに)仕事を再開すればいい……という、気持ちの余裕が生まれます。
この気持ちの余裕があるかないかはとても重要で、余裕がなければ、割の合わない仕事や人間関係の良好でない職場にしがみついて、居心地の悪い状態のままズルズルと働いてしまう……という事態に陥りかねません。
実際には、働いているなかで少し嫌なことがあったからといってすぐに辞めてしまっては効率が悪いし、「雇ってもらっている」という意識からそこまで強気に出られない……という私のような気弱な人間もいるかとは思います。笑
ですが、今いる職場に固執しすぎることなく、「まあ、本当に嫌になったら、いつだって辞められるしな」と思える余裕は、労働にかかる精神衛生の負担をずいぶんと和らげてくれます。
今までお金をかけられなかったものに、お金がかけられるようになる
生活防衛資金があると、いざという時の備えになるのと同時に、欲しいものや自己投資などにお金をかけられるというメリットがあります。
今までは「もしもの時のために、ある程度の蓄えがないと……」と、節約をしたり欲しいものを我慢することもありましたが、まとまった蓄えがある場合、余剰金を貯金にまわさずにパーッと使ってしまうということもできてしまうのです。
もちろん、ちょっとお金が余っているからといって無駄遣いは絶対NGですが、
- 欲しかったけれど「高額だから」という理由で諦めていたものを買ったり
- 行きたかったところへ旅行したり、会いたい人に会いに行ったり
- たまの記念日などにちょっと贅沢をしたり、プレゼントをしたり
……といったことには、お金を使ってもいいのではないかと思います。
「がんばったご褒美」の範囲内でやりたかったことにお金をかければ、その経験がモチベーションになり仕事や更なる貯金への励みになることもあります。
個人的には、この数年間ずっと口癖のようになっていた「北欧に行きたい」という夢も、やろうと思えば今すぐにでも叶えられるほどの蓄えがあるんだ……ということに気付いた時、貯金ってすごいな~~と思いました。
お金で叶えられる種類の夢だったらいつでも現実にできることに気付き、「大人になってよかったなー」とも思ったりもしました。笑
資産運用を検討することができる
私にとって、まとまった貯金ができたことで起こった一番大きな変化は「投資を始めたこと」でした。
貯金が100万円を超えたあたりから、投資に対する興味がムクムクとわいてきて、つみたてNISAの口座開設をしました。
ここでは細かい解説は省きますが、インデックス投資なら、爆発的に資産が増えるようなことはないものの、ほったらかしで運用できます。
なによりいちばん魅力的に感じたのが楽天証券と楽天クレジットカードの組み合わせで、投資信託にもポイントがつくということ……!!
月の上限は50,000円までですが、出費を増やすことなくポイ活ができることを考えると、方法としてはわりとオイシイのではないかと思います。
しかもインデックス投資なら、長期的にみればお金が増える可能性が高い(もちろん元本割れするリスクはありますが)し、つみたてNISAを利用すれば運用益が非課税になります。
ある程度お金が貯まった今の段階で投資をはじめたのは、個人的にはベストなタイミングだったと思っています。
つみたてNISAに関しては「いつかやろう……」と思いながら、なんとなく先延ばしにしていたことのひとつだったので、いいきっかけができました。
副業に投資するお金を増やすことができる
また、生活防衛資金は確保できているという安心感から、副業にかけるお金も増やすこともできました。
とはいえこの副業に関しては、「お金をかければうまくいく」と言いきれるものでもなく、単体でみると赤字になっているような事業もあります(小声:このブログとか……)
それでも、お金さえかければチャレンジできることにとりかかれたり、困りごとを解決できたりできる、その選択肢が増えたことは、よかったことのひとつかなと思います。
これもあまり細かいことはここには書きませんが、たとえば、最近あらたにはじめた副業である「せどり」などは、手持ちの資金によって成果が左右される性質が強く、生活防衛資金がなければおっかなくて一生手を出せなかっただろうなと思います。
実績としてはインデックス投資に全額突っ込んでおいたほうがよほど効率がいい……という程度の収益しかあげられていませんが笑、それでも、新しいことに挑戦したり自分なりの試行錯誤をするのはとても楽しいことではありますので、興味がわいた副業にはちょこちょこと手を出しています。
再現性のある貯金の方法がわかった
逆説的になり本題とはズレるかもしれませんが、まとまった貯金ができたことで、「まとまったお金の貯め方」がわかったことも、よかったことのひとつかなと思います。
これまではなんとなくの浪費や、避けられない大きな出費に対する備え不足のせいで、思ったようにお金を貯めることができていませんでした。
東京で働き、今よりも収入が多かった頃ですら今よりもはるかに貯金ができていなかったので、もう決定的にやり方がまずかったんだろうなぁと思います。
が、自分なりの節約方法を考えたり、本やブログを読んで研究したり、あるいはそもそもの考え方のようなものを変えることで、少しずつお金が貯まっていくシステムができてきました。
この仕組みや考え方があれば、仮に家に泥棒が入って、生活防衛資金のすべてを失ったとしても、同じだけの時間をかければ同じだけの貯金ができるということになります。
なんだったら以前よりももっと効率的な貯め方ができ、もっと早く同額を貯めることもできます。
この「再現性のある貯金の方法」が確立できたことが一番の収穫で、個人的には収入を増やすことより、投資をするより大事なスキルを磨くことができたように思っています。
まとめ
生活防衛資金が貯まることによる効果は、
- もしもの時の備えは確保できているという安心感
- 余剰金を使い、新しいことを始めようとするきっかけになること
……の、おおきくふたつの性質に分けられます。
もっと収入や貯金の多い人にとっては、たった100万円ちょっとくらいで……と思われるかもしれませんが、自分はやる気になれば100万円ぐらいは貯められるんだ、という自信がつきました。
それは、「この先なにがあっても、これまでと同じ方法を試みていけば、ある程度はなんとかなるんじゃないか?」という、未来に対する安心感にもつながりました。
貯金ばかりしていても仕方ない、お金は使わないと!!というような論調も一理あるとは思うのですが、それよりもっと大事なことは、「貯金もするし、お金も使う」ということなのだと思っています。