働き方に迷走しまくっています。
週休5日生活を送る予定だった
2021年3月末で派遣の仕事を辞めて無職になり、以後は週に2日くらいだけ働いて、残りの5日間はひたすら遊びまくる人生を送るつもりでした。
が、いろんな事情があり派遣の仕事を再開し、以前のように週5日間を労働に費やす日々に逆戻りしています。
労働を再開した理由としては、仕事の内容が以前よりも格段にラクなことや、そのうえでお給料が以前よりも割増だったことなどいろいろ打算的な思惑があるのですが、それでもやはり週5労働の虚しさになかなかメンタルをやられる日々を送っています。
働くだけだと病む
毎朝目覚ましに起こされ、出勤して8時間労働をし、家に帰って家事をし、横になってYouTubeを見て寝るだけの生活を送っていると、いったいなんのために生きているのかわからなくなります。
日々の労働や、家事や育児との両立が忙しすぎてそんなことを考えている余裕もないという人にとってはだいぶ贅沢な悩みなのかもしれませんが、私にとってはかなり切実な問題です。
そのため、無職期間中に飽きることもなく日々こなしていた、"読書"と"文章を書くこと"というふたつの趣味を、なんとか毎日継続したいと考えています。
(実際の無職期間中はそれよりもはるかにYouTubeを見ている時間のほうが長かったのですが、もはやその時間的余裕はありません)
インプット&アウトプットが日々の虚しさを癒してくれる
- 毎日読書をしてインプットする
- 読書メモをつけたり、ブログを書いたりしてアウトプットする
……というふたつの趣味は、余暇がありあまった無職期間に身につけたものです。
この趣味は週5日間×8時間働きながらでも、毎日少しずつやればそこまで重労働というわけでもなく、かつ"日々を無為に過ごしている感"を払拭してくれる、とても優秀な習慣であることがわかりました。
必要なのは書籍代だけと非常に低コストかつ、知識や読書メモ・ブログ記事といったストックも生まれます。更には、余暇に余力を残すため、日中の仕事もできるだけ省エネ&ハイパフォーマンスを実現しようというモチベーションもわくという一石三鳥ぶりです。
毎日1p以上の文章執筆と労働と勉強の両立を85歳まで続けた人
この習慣を継続するために参考にしているのが、明治から昭和にかけて活躍した、林学者で投資家の本多静六氏です。
本多静六著「私の財産告白」は、2年前くらいに購入して読んだものの、"1/4天引き貯金した人"程度の印象しか残らなかった一冊です。
当時「手取りの半分を貯金する!!」と意気込んでいた私にとって、1/4天引き貯金は少々ぬるく感じたし、昨今話題の渋沢栄一系統の、"意識の高いビジネスマン向け"の本だなぁという感想で、あまり印象に残りませんでした。
しかし、最近になって読み返したところ、1/4天引き貯金以上のとんでもない習慣を実践していたことがわかり、「ナメててすみませんでした……」とひたすら頭が下がります。
副業ブームの先駆け
「四十までは勤倹貯蓄、生活安定の基礎を築き、六十までは専心究学、七十まではお礼奉公、七十からは山紫水明の温泉郷で晴耕雨読の楽居」と定め、かつ毎日一頁以上の文章執筆と、月給四分の一天引き貯金のふたつの業を始めた。
勤労生活者が金を作るには、単なる消費面の節約といった、消極策ばかりでは十分でない。本職に差し支えない限り、否本職のたしになり、勉強になる事柄を選んで、本職以外のアルバイトにつとめることである。
私のアルバイトは、「一日に一頁」の文章執筆の「行」によって始められた。
それは満二十五歳の九月から実行に入ったことで、私は四分の一貯金の開始と共に、一日一頁(三十二字詰十四行)以上の文章、それも著述原稿として印刷価値のあるものを毎日必ず書きつづけ、第一期目標五十歳に及ぼうというのであった。
もう第一期限の五十はとうに過ぎ去ったが、八十五のいまをもってこのアルバイトをつづけているので、つまらぬ本も多いながら、中小三百七十余冊の著書を生み出すことができたのである。
本多静六氏は山林に投資しまくって一山当てた人(文字通り)という先入観がありましたが、実際はだいぶ地道に、地味に働いて、自己研鑽して、執筆活動もして富を築いた人のようです。
労働によって築かれた財産(著書内の表現でいうところの"儲け粕")は結果でしかなく、印象としては資産を積み上げることよりも、仕事と生活を楽しんだ人という気がします。
ちなみに「32文字×14行」というと1日448文字ぐらいの執筆量ですが、なんやかんやあって最終的に1日に3P書くようになったらしいです。すごい。
"働学併進の簡素生活"
この本の中に出てきた表現でいまの自分にいちばん刺さったのが、”働学併進”というキーワードです。
満六十の停年後は「人並外れた大財産や名誉の位置は幸福そのものではない。身のため子孫のため有害無益である」と悟り、財産のほとんどすべてを、隠れて社会事業に喜捨、再び働学併進の簡素生活に帰り、七十歳までの十年間、宗教・哲学・歴史・経済・法制等の新刊書を耽溺し、たまたまアインシュタインの相対性原理を知るに及び、大いに啓発されるに至った。
”働学併進”については詳しい解説があるわけではなく、またこのワードで検索をしてもこの本多静六氏の著書しかヒットしないのですが、要するに「働くだけじゃなくて勉強もしようね」というシンプルな教えであると考えられます。
サラリーマンとして週5で働いていると、疲れ果てて家に帰ってからはとても勉強なんてする気がしません。家の中のことを片付けるので手一杯になりがちだし、まして家族のお世話をしなければいけない立場だったりすると、自分ひとりのために使える時間を確保するのも一苦労です。
また著者は、働きながら学ぶだけではなく、生活をできるだけ簡素にして贅沢はせず、副業(アルバイト)にも励みなさい!!と言っています。いかにも昔気質っぽいパワフルさに気圧されそうになります。昨今のビジネス書ベストセラーでももうちょっと読者に甘く、マイルドな主張になっている気がします。
もっと耳に痛い教えもある
著者の主張は、解説の岡本吏郎氏の言葉を借りるなら「一般解」「誰もが知っているごく当たり前のこと」であり、地道に努力して自己研鑽することだけが「平凡人の自己を大成する唯一の途」であるという、「ですよね」としか言いようがない教えです。
更に著者は「人生の最大幸福は職業の道楽化にある」とも主張していて、個人的にはこれがかなりウッ……となった部分です。
私の体験によれば前にもしばしば述べたように、人生の最大幸福は職業の道楽化にある。富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない。道楽化をいい換えて、芸術家、趣味化、娯楽化、遊戯化、スポーツ化、もしくは享楽化等々、それはなんと呼んでもよろしい。すべての人が、おのおのその職業、その仕事に、全身全力を打ち込んでかかり、日々のつとめが面白くてたまらぬというところまでくれば、それが立派な職業の道楽化である。
なんでもよろしい、仕事を一所懸命にやる。なんでもよろしい、職業を道楽化するまでに打ち込む、これが平凡人の自己を大成する唯一の途である。
この「仕事がめちゃくちゃ楽しくて仕方なくなったら人生めちゃくちゃ楽しくて仕方ないよね!」的発想って、現代社会でもわりと幅をきかせているというかそれはそうだろうけどさ……というかんじではあるものの、誰にでも簡単に実現できるものでもありません。
楽しい仕事だけして生活が成り立つほどのお給料がもらえる人は、おそらく世の中のごく少数派です。大多数の労働者は、イヤな仕事をしながらお金を稼いで、好きなことはお金を払ってするか、お小遣い稼ぎ程度の収入しか得られない、ということが多いはずです。
なので、個人的にはこの主張に関しては同意しかねるというか、「好きなことを仕事にしなければならない」とか「仕事も遊びも楽しまなければならない」と意気込みすぎる必要はないのではないかと考えています。
なぜなら、自分ひとり分の生活費を稼ぐ程度であれば、たいして頑張って働かなくてもなんとかなるからです。
たとえイヤな仕事でも、週に2〜3日も働けば日々の食い扶持は稼げてそれ以外の日はひたすら好きなことをしていられるので、"楽しい仕事"=「職業の道楽化」にこだわる必要はないという考えです。
週に2日だけイヤな仕事をして、1週間分の生活費を稼ぐことができれば日々の負担感はだいぶ少なくできますし、それは誰に文句を言われる筋合いもない、充分立派な生き方だと思います。
また、そのほうが「好きなことを仕事にする」よりもはるかにイージーなので再現性も高く、ハードルを低くして人生を楽しめるような気がします。
まあいろんな事情があって、まだ週休5日生活を実現できずにいるのですが……(小声)
ライフハックとしての働学併進と執筆活動
以前の自分であれば、著者の主張はあまりにマッチョすぎるし、仕事が終わって家に帰って勉強・執筆活躍などというと、ものすごく肩肘張って努力しなければ成し遂げられそうにないと感じたかもしれません。
が、実際のところは、疲れた体に鞭打ってがんばらなくても楽しいことなら日々なんとなく続けられます。
"自己研鑽"などというと大袈裟に聞こえますが、読書や文章を書くことを通じてなにか大きな目標を達成したいわけでもなければ、ましてそれで手持ちの資産を増やしたいわけでもありません。ただ、日々をなんとなく労働に費やして疲れ果てて、貴重な余暇の時間を浪費していく一方となるとそちらのほうがよほど気分的にしんどい、というだけのことです。
いうなればただのライフハックのひとつというべきか、毎日を楽しくするための工夫のうちのひとつ、ぐらいの感覚です。
平日は朝から夕方まで働いていて時間がないから……と、やりたいことを我慢するより、
- 仕事はそこそこにこなして、やりたいことをやるための原資を貯めつつ、
- 興味のある分野の勉強や、インプットにかける時間も確保しつつ、
- アウトプットもおこたらず、毎日少しでも文章を書く
……という方向性で、ゆるくやっていきたいな、と考えています。