『「山奥ニート」やってます。』を読みました。
著者の方はニートで、NPOの支援で和歌山県の山奥に移住し、現在ではニート15人で集団生活をしているとのこと。
この”山奥ニート”の生活があまりにも楽しそうで理想的で、私も一度はこんな暮らしがしてみたい!!と強く思いました。
山奥ニートの暮らし
山奥ニートの暮らしの概要はこのように↓なっているとのこと。
- 15人のシェアハウス暮らし
- 住居は廃校になった小学校、家賃はタダ
- 生活費として毎月18,000円が徴収される
- 生活費は地域でアルバイトをすることで稼ぐことが可能
- 欲しいものはAmazonなどネット通販で購入
- 暇になったら川で遊んだりBBQをしたり、みんなでゲームをして暮らす
注目すべきはやはり生活費は月18,000円という部分です。
私は地方のボロアパート暮らしで、できるだけ生活費を下げようということを人生の目標にして生きていますが、どんなに頑張っても家賃+光熱費+最低限の食費だけで4万円くらいにはなってしまいます。
ネックになるのはやはり家賃ですが、山奥で暮らせば家賃は限りなく0円に近づけていくことは可能のようです。
地方で小屋暮らしをする人が買うような土地も多くは山奥ですし、我が家が目指している”家賃を払わない生活”を実現するためには、やはり山奥がキーワードになってくるのかもしれません……。
山奥ニートのすばらしいところ
”必要最低限の生活費”が実現できる
18,000円の生活費の内訳は、食費・通信費・光熱費など生活に必要最低限のインフラ部分であるとのこと。
毎月18,000円をしっかり納めてさえいれば、個室で寝られてごはんが食べられてネット使い放題、アウトドア遊びやゲームし放題です。
都市圏でひとり暮らしをしていると、どんなに生活を切り詰めても家賃として2~3万円、光熱費として1万円、食費として1~2万円は最低限かかってしまうことを考えると、やはり集団生活はコスパが段違いです。
地域のアルバイトだけで充分まかなえるほどの低コストな生活費は、家賃がほとんどかからない山間部ならではかもしれません。
月18,000円の生活費は、年間に換算してもたった20万ちょっとにしかなりません。
となると、例えば1年のうち1~2ヶ月だけ都市圏でガッツリと働いて、残りの10ヶ月以上は山奥で楽しく暮らす……ということも、余裕でできてしまいます。
生活に必要な分のお金だけを稼ぎ、それ以上は無理して働かずにのんびりと暮らす、というのは、個人的には理想そのものの生活です。
友達と好きなだけ遊んで暮らせる
大人になると”友達と遊ぶ時間”はほぼなくなります。
仕事が忙しくなったり、家族ができたりすると、学生時代には毎日会っていた友達であっても、月に1度会えればいい方ではないでしょうか。
しかし、シェアハウスに集まって、しかも仕事もしないとなれば、そのような制限はなくなります。
友達と話したい気分のときは共有スペースに集まればいいし、ひとりになりたいときは自室に引きこもっていればいいのです。
アルバイトをするときや、あるいは自分たちで事業を起こしてお金を稼ぎたいと思ったときでも、自分ひとりで稼ぐのではなく友達と一緒に稼ぐということもできます。
これがもっと発展すれば、もしかしたら子育てや介護なども、家族単位ではない”みんな”で行うことができるようになるかもしれません。
昔は”地域”という限定的な集団で行っていたのと同じようなことを、これからは同世代の友達や、SNSで繋がった気の合う人同士でできるようになる……と思うと、すごく先進的に感じられるし夢があるな~~と思います。
怪我や病気に強い
こういった暮らしをしている人を見ると、ついつい「病気になったらどうするの?」と思いがちですが、医療の面でも全く問題なさそうというか、むしろ一般的な都市圏内での生活よりも、病気には強いのでは?と考えさせられました。
もし、ひとり暮らしで病気になったとして、病院に行くにも自力で公共交通機関を使うなり、タクシーに乗るなりする必要があります。
仮に家族で暮らしていたとしても、具合が悪い時に都合よくケアができる人が傍にいてくれるとは限りませんし、逆の立場であっても、家族がピンチの時に必ず傍にいられる保証はありません。
しかし、山奥ニートは15人もいるので、具合が悪くなったら誰かが車を出してくれて病院に連れて行ってくれるし、つらくて動けない時に看病をしてくれます。
また、自分以外の誰かがつらい時に傍にいて助けてあげることもできます。
集団生活には単純に、常に”人手が多い”というメリットがあるのです。
更には、ニートには”働くこと”が直接的・間接的原因になる不具合もありません。
仕事のストレスもなければ、デスクに座りっぱなしで腰痛になることもないし、長時間労働による過労や睡眠不足もあり得ません。
外食をしないので(外食できるところがないので)栄養バランスが偏ることもないし、積極的に外遊びをすれば運動不足の解消にもなります。
万が一の、たとえば入院や手術が必要になるような大きな病気に備えてある程度の蓄えは必要かもしれませんが、それはどこに住んでいても同じことです。
山奥に住んでいるので怪我のリスクは多少上がるかもしれませんが、そもそも病気になるリスク自体が、都市圏での生活に比べて少ないのです。
「ダメだったら山奥に戻ればいい」というセーフティネットができる
山奥ニートの人の中には、山奥を下りて都市圏で生活をはじめたり、正社員として就職する人も多いようです。
そのような”山を下りた人”のうちのひとりである男性のインタビューでは、以下のようなことが語られています。
働くうえで大きかったのが、「ダメなら山奥に戻ればいい」っていう心の保険があったこと。
山奥の感覚がベースにあるから、毎日、その日に稼いだ金額を「山奥に換算すると何日間暮らせる」と考えていたんだけど、そうしているとお金を稼ぐのが楽しくなった。
たとえば、1万円稼いだら山奥の半月分の生活費になるわけで。街で自立して生活するなら半月で10万円くらい必要だけど、1万円稼ぐだけでそれと同じくらい稼いだみたいな気持ちになる。
そんな感じで半年間バイトしたあと、ダメだったら山奥に戻ればいいから試しにサラリーマンやってみるかと思って、捨て身の感覚で面接に挑んでみたら、一社目でするすると進んでしまった。(後略)
一般的には、いわゆる”社会人”は都市圏で働き収入を得て、都市圏に住み何万円もの家賃を毎月払いながら生活するものだとされています。
しかし、その都市圏での生活に馴染めなかったり、あるいは勤めている会社でうまく立ち回れず、そこからはじかれてしまう人もいます。
そういった人が暮らせる場所が”実家”しかなければニートになるし、その実家すらない人はホームレスになってしまう。そうならないためには、”生活保護”というセーフティネットを頼るしかありません。
- 無料か、あるいは格安で住める場所
- とりあえず生き延びられるだけの食料とインフラ
- わずかでも収入が得られる働き口
これらのものさえあれば、ホームレスにならずとも生きていくことができるのに、そういった場所は日本にはほとんどありません。
しかし、山奥でならそのような暮らしが実現することができ、もしも都市圏での生活が立ち行かなくなかったらいつでも山奥での暮らしに戻ることができる……と考えると、あまり人生を悲観しすぎずに、穏やかな気持ちで生きていけるのではないかと思います。
山奥ニートの暮らしは、生活保護などの公的支援と同じか、もしくはそれ以上の安心感を得らえるセーフティネットになるのではないでしょうか。
個人的には”海沿いニート”がしたいです
山奥ニートの暮らしにどこまでの再現性があるかはわかりませんが(それを抵抗なく受け入れられる地域がどれだけあるかにかかってきそうなので)、同じような暮らし方をいつかしてみたいと思わされました。
できたら山より海が好きなので、海沿いニートになりたいです。笑
江戸時代の町民は多くがフリーターかニートだったという話もありますし、江戸時代よりもはるかにテクノロジーの発達した現代なら、働かないで楽しく暮らすことは絶対に可能なはずです。
”月18,000円のサブスク”で家賃・光熱費・食費・通信費をまかない、それ以外の必要なものはネットショップで調達する生活……と考えると、今の時代だからこそ実現可能な、ミニマムで合理的な暮らしをしているとも言えます。
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