派遣で働くときにいちばんのネックとなるのは、「収入が低いこと」です。
まず、正社員に比べて派遣の収入が低いのはまちがいありません。
よほどの専門スキルを持っているわけでもない限り、たとえ同じ仕事をしていても、派遣社員が正社員と同じだけのお給料をもらえることはありえません。
派遣会社が仲介に入って手数料をとっているし、そもそものシステムが「人件費を安くあげられる」ことを前提に成り立っているので、そこはもう仕方ないと割り切るしかありません。
しかも、長く勤めれば給料が上がるという見込みもないので、収入を上げたければ派遣先か派遣会社を変える必要があります。
当然、ボーナスも出ません(ごくたまに、派遣会社が金一封的なものをくれることはあります。笑)
もちろん最低賃金やわれわれの時給が上がるにこしたことはないし、上げていただいて一向に構わないのですが笑、そう都合のいいことばかりが起こるとは限りません。
収入を上げたい人はそれなりのスキルアップをしたり、正社員に転向したほうが手っ取り早いと思われます。
収入の低さというデメリットを補ってあまりある「残業の少なさ」
では、なぜそのような環境でも「派遣で働く」ということを選択しているかというと、派遣には「余暇」の時間がたくさんとれるというメリットがあるためです。
収入が低くても「自分の自由にできる時間」が増え、趣味に時間をかけたり、家族と過ごす時間を増やすことで、生活の質を向上させることはできます。
これが正社員だと、「毎日残業をしなくては仕事が終わらない、かといって残業代が出るところばかりとは限らない……」ということは、ままあります。
それはもうそもそもの仕組みが間違っているのでは……とは思いますが、現状、正社員は「自分の好きなことに使える時間を、自分でコントロールする」ということができません。
その点で、派遣社員なら残業代は必ず、キッチリ割増で支給されるため、ほぼほぼ定時で帰宅することができます。
残業代を支給してもらって収入をアップさせたいなどの野望があれば、派遣先によっては多少いやがられるかもしれませんが、ガンガンに残業して荒稼ぎするということも不可能ではありません。
是非はともかくとして、この「本来もらえるはずのお金が、ちゃんともらえる」というのは、派遣会社という仲介者がいて、法律に則って契約を結んでいてくれているからこそ成り立っていることです。
(派遣会社も高い手数料をとっているのだから、それぐらいのことはしてもらって当然といえば当然ですが)
逆に言うと、それすらしてくれないような(自分のところの派遣社員を違法に働かされても目を瞑るような)派遣会社に所属する意味はまったくないので、ぜひとも乗り換えをおすすめします。
ただし、生活コストを上げることはかなりリスキー
今よりも広くてきれいな家に住みたい、外食は毎週したい、年に1回は海外旅行に行きたい……など「生活にかかるコストを上げること」で幸せを感じるタイプの人は、派遣に向いていません。
毎月の給料でまかなえないほどの生活費をかけ続けると、あっという間に破綻することうけあいです。
これは正社員も同じことではありますが、派遣社員は派遣先を数ヶ月~数年単位で転々とする性質上、節目節目に働けない期間が生じるという点で、よりリスキーです。
そのような人はおそらく派遣で働いても不幸になるだけなので、おとなしく正社員になっておいたほうが無難です。
生活レベルを上げることより、下げること=ダウンシフトすることのほうが得意、という人にとっては、派遣は自分の食い扶持ぐらいは難なく稼げて、しかも自由に使える時間も確保できるという一石二鳥の働き方であると言えます。
個人的な理想のサイクルとしては、「2~3年くらいは長期派遣で働き、次の1年はまるまる休めるぐらいの蓄えができる」ぐらいの状態だと、かなり安心できるかと。
「派遣では貯金なんてできないのでは……」と思われるかもしれませんが、最低賃金が常に全国最低レベルを大爆走している高知県の派遣社員(私です)でも貯金はできているので、工夫次第でなんとでもなります。
自分ひとりの生活費ぐらいだったらバイトやパートでも充分稼げますが、派遣のほうが「仕事が楽なうえに時給も高い案件」が多いように感じるので、より短時間で効率的に稼ぐことができます。
余暇を使って収入を増やす
やりたいことや趣味があり、かつその「やりたいこと」によって小額でもお金を稼ぐことができるという人は、余暇を使って副業や複業にいそしむことで収入を上げることができます。
このパターンがおそらく派遣としては最強の働き方で、収入を増やせるうえに派遣で定期収入を得る&複業で収入源を増やすというセルフダブルインカムを実現することができ、より安定的な収入を確保することもできるようになります。
正社員はもし会社を辞めると転職するのも一苦労ですが、派遣ならすぐに別の派遣先を紹介してもらえるし、複業として取り組んでいた仕事でいっそ起業してしまうということも、できなくはありません。
まとめ:派遣社員に向いている人・向いていない人
派遣社員に向いている人
- 生活にかかるコストを下げることに抵抗のない人
- 毎日長時間働くのが体力的・精神的につらい人
- 家族と過ごす時間はしっかり確保したい人
- 働いてお金を稼ぐよりも、趣味に没頭するほうが幸せになれる人
- 趣味でお金を稼ぐことのできる人
- 半年間、一年間単位での「仕事をしない期間」が欲しい人
派遣社員に向いていない人
- 日々生活レベルを上げていくことに喜びを感じる人
- 長期休みはお盆と正月だけでも充分な人
- 節約や貯金が苦手・嫌いな人
- 「趣味は仕事」の人
- ボーナスが欲しい人
- 派遣会社にマージンを取られるのが我慢ならない人